初心忘れるべからず

「初心忘るべからず」
という言葉があります

世阿弥の言葉として
知られていますが
実はこの場合の
「初心」とは、
「当初、志した時の意気込みや
新鮮な気持ちを忘れない」

ということではありません

それを意味する言葉は、
「初志」
正しくは、
「自信がついてきて、
慣れが出てきた時こそ
自己満足に陥りやすい
  始めた頃の、未熟で
失敗ばかりであった時の
失敗やそれを乗り越える
ために行った努力の記憶を
忘れてはいけない」

という意味です

初心者の頃のみっともなさ、
未熟さを折にふれて
思い出すことにより、
「あのみじめな状態
には戻りたくない」

と思うことでさらに
精進できるのだ、
というのが本当の
意味だそうです

さらにこれには
続きがあって
「時々の初心を忘るべからず」
若き日の未熟な状態から
抜け出した後、
年盛りから老後に至るまでの
各段階で年相応の
芸を学んだ初めての境地を
覚えておくことにより、
幅広い芸が可能になる
「老後の初心を忘るべからず」
老後にさえふさわしい芸を
学ぶ初心があり、
それを忘れずに限りない
芸の向上を目指すべし
学習に行き詰まったり、
モチベーションが
上がらないというときは、
「初心忘れるべからず」
自分を奮い立たせて
みるのも良いかもしれません