犬神佐兵衛翁の遺言はホントに有効なのか?

犬神家の一族という作品ご存知ですよね
名探偵金田一耕助が難事件を解決するシリーズ
映画やドラマで何度も映像化されている作品
もう何度も観ているので
私はほぼ内容を暗唱できるレベルかも(笑)

犬神佐兵衛翁は戦前戦中に犬神製薬を創業
時流に乗り事業は大成功して
莫大な富を築くこととなりましたが
その遺言の内容を発端として
数々の事件が始まるという内容

特に犬神左清の仮面をつけた姿や
湖で逆さまで足だけ出てるシーンなど
今でもたまにネタで使われるほど(笑)

あの作品の中に出てくる序盤の名シーンは
親族が集まった中での遺言を公表する場面
犬神家の顧問弁護士の古舘弁護士が
この遺言は法的に有効なものと言ってますが

あの遺言はホントに有効なのか?
前々から気になっていたので
以前に一度映像化されているものを
見比べてみたんです(笑)
映画で2本、テレビドラマで4本

遺言の専門家の立場からすると
遺言の内容も有効性は疑わしいですが
基本的なところでまず疑問に当たります

あの遺言書は家庭裁判所の検認を経ずに
古舘弁護士が勝手に開封をしています

犬神佐兵衛翁の法定相続人は
松子、梅子、竹子の3人の娘と
女工であった青沼菊乃の子青沼静馬
ただ、全て非嫡出子なんですが
一応全て認知しているものと想定

今回の改正法前だと自筆証書遺言であれば
財産目録を含めて全て本人の自筆であることと
日付と本人の署名押印をした後に
ちきんと封をしなければなりません
その上で相続人が立会いのもとで
家庭裁判所の検認の手続きが必要

あの遺言だけだと手続きは出来ないから
改めて遺産分割協議書をつくって
相続人全員の署名押印が必要かも、、

もしこの手続きがない場合は
不動産の所有権移転や
金融機関での解約等が
出来ないことになっています

遺言が公正証書で作られている場合は
家庭裁判所の検認は必要ないのですが
映像を見る限り公正証書遺言の
設えはないようなので、やはりあれは
自筆証書遺言なんだろうと推察

結局、犬神家ではあの遺言がきっかけで
相続人の間でトラブルに発展しました

犬神佐兵衛翁はわざとトラブルにしようと
あんな遺言にした感もありますが
やはり身内で争うのはいやですよね

相続でトラブルにならないようにするには
理想的な家族の未来をイメージして

ただしい方法で遺言をつくる
自分の抱いている思いを伝える
理想の未来実現の為のきちんとした道筋を描く

こうしたことが
家族を幸せにする相続の準備なんです

犬神家の遺言はちょっと変化球ですけど
現代の私達に遺言のあるべき姿を
反面教師として示してくれているのかも

さあ、あなたはどんな家族の未来描きますか?